生命の木

ヒシャーム宮殿（キリバット・ア・マフジャール）(Khirbat al-Mafjar)からの「生命の木」モザイク画
「聖地の古代モザイク画」メダルシリーズ　第８次

キリバット・ア・マフジャール（Khirbat al-Mafjar）は、ウマイヤ王朝（8世紀）の重要なカリフである、ヒシャームの時代から成る王家の建物の遺跡たちによって構成されています。 この遺跡は、エリコから北に2キロ離れたワディ・ヌウェメ（Wadi Nwemeh）の北岸に位置しています。

敷地内には３つの主要な建物、素晴らしい浴場、モスク、その間に位置する中庭のある宮殿など、約1.5kmの広さに広がる私有地や狩猟用のロッジが発見されました。中庭には南への門があり、部屋や馬小屋に囲まれていました。その中心にはプールや噴水のある、八角形の石造りの建物がありました。水は4kmの長さの水路によって各場所に運ばれたのです。

浴場が最初に建てられ、完成した後に実用されました。ですがこの建物と他の２つの建造物は、地震で（おそらく746年）破壊されてしまいました。
敷地全体が美しいモザイク画で溢れており、最も印象的だったのは浴場モザイクです。保存されていたモザイク画のほとんどは、幾何学的形状のデザインから構成されています。レセプションルームの片端にある浴場のモザイクは例外です。
モザイクの床も幾何学的な模様で装飾されていましたが、わずかに高くなった演台の上に施されており、豊かな葉と果物の木を描いた、敷地内で最も壮大なモザイクの１つでした。木の幹の両側には動物が描かれていました。
木の幹の左側には、モザイク画の断片である２匹のガゼルがおり、木の枝を静かに噛んでいます。右側には、ライオンがガゼルに襲いかかり、食べている様子が描かれています。このモザイク画は特徴的な色合いを持っており、そのモザイクの色合いは、僅かに違う色で構成されています。

このモザイク画のテーマと芸術的なスタイルは、派手な漆喰の装飾がされており、イスラム美術の中では異例です。どうやら、このデザインと建築の創造に参加した芸術家の中には、ギリシャ語とアラビア語を話すキリスト教徒や、ユダヤ人、イスラム教徒が居たそうです。実際の建物は、当時のイラクとペルシャの特徴であるイスラム建築の影響を受けていました。 建物の特徴：高さのあるアーチ型の入り口、繊細に表現された小さな装飾、漆喰を型にはめて作った、化粧しっくい細工が施されているだけでなく、他のモザイク画のスタイルがこの敷地内で発見されています。

キリバット・ア・マフジャールは、おそらくヒシャームのウマイヤ王朝の後継者のための、春や冬を過ごす住居として役立ちました。
この建物の大きさから考えると、宮殿の中に多数の側近が居たという事と、彼は客に高貴なもてなしをしたと推論することができます。
この後継者はお客と共に、狩猟、乗馬、歌、楽器の演奏、そしてワインで楽しませ、人生の楽しさを味わっていたようです。この全ては絵や装飾、そしてモザイク画に反映されています。

その場所で発見された一連の装飾から、浴場のモザイクの左側はメダルを飾るために選ばれました。 牧歌的な背景に対して、ガゼルは背の高い緑の木の枝の下に現れます。それは当時のエリコ地方で支配していた大気への思い込みになるかもしれません。 今日、この素晴らしいモザイクはエルサレムのロックフェラー美術館で見ることができます。

メダル詳細

モザイク画の写真：イスラエル古代当局提供。

エッジ：平滑縁、シリアルナンバー入り。

デザイナー：メイヤー・エシェル（Meir Eshel）

彫刻：アメリカ合衆国（USA）

鋳造：アメリカ合衆国