魚

ベイト・シェアンから（BEIT SHE'AN）の「魚」モザイク画
「聖なる地の古代モザイク」メダルシリーズ　第７次

ベイト・シェアンはイスラエルの地の中でも最も古い都市の一つです。この都市は西と東（西の地中海沿岸から、ゼブルン（Zebulun）とジェズリーズ谷（Jezreel Valleys）を挟み、東のヨルダンへ続く）を、そして北と南（ヨルダン谷）を交差する戦略的立地にある場所として非常に重要とされています。渓谷の肥沃な土地とその地域の豊富な泉は、ベイト・シェアンに経済的利益をもたらしています（今日のイスラエルでベイト・シェアン谷は「泉の谷」として知れ渡られており、養殖業は最も繁栄している産業のひとつです）。古代の考古学研究でもそれは証明されており、都市はテル（丘と言う意味）ベイト・シェアンという丘に位置しており、周辺地域を見下ろしています。

ベイト・シェアンはメナッセ（Menasseh）族の領土の一部でしたが、カナン人（Canaanites）地域の軍事力の影響で、メナッセ族はこの都市を占有することができませんでした。ソロモン（Solomon）王の時代には、ベイト・シェアンは渓谷地域を管轄する行政地域の1つに位置していました。「ソロモンはまたイスラエルの全地に十二人の代官を置いた」「バアナはタアナクとメギドと、エズレルの下、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの全地を担当して、ベテシャンからアベル・メホラに至り、ヨクメアムの向こうにまで及んだ」 (列王紀上4:7,12）。

ヘレニズム（Hellenistic）時代から、都市部はベイト・シェアンの丘よりも成長を遂げました。ローマ時代には、都市の名はシトポリス（Scythopolis）となり、地域の中心になりました。ビザンチン時代には、ベイト・シェアンの成長、繁栄は、丘と同じくらいまで発展を遂げました。北部にはハロッド（Harod）川が流れており、この期間中、都市は壁で囲まれており、その残骸はさまざまな場所で見つかっています。考古学的発掘調査では、ビザンチン時代のものとされる多くの建造物が発見され、その都市の繁栄を証明しています。 当時の都市は主にキリスト教徒が住んでおり、一般的なビザンチン文化の影響下に置かれた他の入植地の特徴と似通っていました。 それにもかかわらず、都市にはユダヤ人とサマリア人のコミュニティもありました。

ローマからビザンチン統治へとなった際の文化の変化にも関わらず、ビザンチン文化は多くのローマの特徴、入浴の文化を強く受け継がれていました。 お風呂は衛生面だけでなく、リラックスや健康の目的でも使われていました。 入浴者はしばしば数時間を浴室で過ごし、政治的および哲学的な議論など、社会的集会の目的でも利用されていました。 ローマ時代およびビザンチン時代の浴室の特別な社会的および文化的役割の観点からも、浴室には温水を供給する技術、建物の装飾や彫刻などを含む建築技術、芸術的なモザイクがや壁画など、さまざまな技術や資源が注ぎ込まれていました。

ベイト・シェアンの浴場は、ビサンチン市の中心部、劇場の北西で発見されました。建物の大きさは７ドゥナム（1,000 スクエアメーター、約 1,200 スクエアヤード）にも及び、イスラエルの地でも最大の、素晴らしい建築物です。床はモザイクがでマーブル柄になっています。モザイク画の断片のひとつがこのメダルには描かれています。モザイグ画の中心に描かれた、３匹の魚と植物の装飾が描かれています。

ビサンチン時代のモザイク画の中に、魚は多く登場し、イスラエルでは多くの魚のモザイク画が見つかっています。これは当時魚が発展の象徴だったかを物語っています。キリスト教では、イエスが魚で奇跡を起こしたと言われています：「５斤のパンと２匹の魚（５斤のパンと２匹の魚で5000人の人に食事を振舞うことができた時）」彼の指示により、弟子たちが奇跡的な漁を行ったのです。

エルサレムでは、魚は恵と豊富さの象徴です。家長・ヤコブ（Patriarch Jacob）がエフライム（Ephraim）とマネシュ（Menasseh）という2人の息子に恵まれた時、全てを倍に掛け算する必要があり、そこでヘブライ語の「魚」を元にした動詞が用いられました。魚は豊富さの象徴で、川でも海でも見つけられ。魚だけが洪水の水で被害をうけないことから、悪から逃れる良いしるしともされていました。

ラビ・ハニナ（Rabbi Hanina）の息子であるラビ・ヨシ（Rabbi Yossi)（3世紀末の口頭法の教師）によれば、魚はその独特な環境を理由に恵と安定のの象徴とされています。 水に覆われて、悪の目ですら支配することはできません（バビロニアン・タルムッド、 祝福のトラクテート）。 ユダヤ人のコミュニティーはパガン、ローマ、ビサンチン、その他すべての時代において敵と戦わなければいけない集団であると彼は考え、人々は恐れを抱かず、目立たず、適度に距離をおくべきであり、魚は恵の象徴であり。沈黙、様々な行動において、人々のいいお手本になるという彼の考えは、知恵ともいえるでしょう。

メダル詳細

モザイク画の写真：イスラエル古代当局提供。

エッジ：平滑縁、シリアルナンバー入り。

デザイナー：メイヤー・エシェル（Meir Eshel）

彫刻：アメリカ合衆国（USA）

鋳造：アメリカ合衆国