ソロモン王とシバの女王

ソロモン王とシバの女王
第25回「聖書の芸術」記念コインシリーズ
イスラエル銀行発行法定通貨

シバの女王の物語は、聖書だけではなく、歴史書にも記載されています。
聖書物語には、シバの女王の名の言及はありませんが、ソロモン王の評判の高い知恵を評価した女王として描かれています。

「彼女はソロモン王を謎で試すためにやって来た」（列王記上10:1）とあります。ソロモン王はその謎を見事に解き明かし、「王に隠されたものは何もなかった」（列王記上10:3）と述べられています。

シバの女王は、王の宮殿や晩餐会で目にしたすべてのものが彼女の期待を超えていたので、「私は、実際の半分も知らされていなかったようです。あなたの知恵と、お国の繁栄ぶりは、聞きしにまさっておりました。」と言いました。（列王記上10:7）。

シバの女王は温かい言葉に加えて、すばらしい贈り物を持っていきました。ソロモン王は、「女王が求むすべての望み」を叶えました（列王記上10:13）。

シバの女王の物語には、ソロモン王の偉大さ、富と知恵、王宮の壮麗さと栄光、そして王自身が描き込まれています。

シバの女王の訪問の表向きの理由はソロモン王の知恵を確かめるためでしたが、その裏には別の理由があったと考えられています。ソロモン王は極東への新たな海上貿易ルートを導入しようとしていましたが、ラクダの貨物で商品を運ぶことを生業とする砂漠の部族にとっては邪魔な存在だったのです。シバの女王が訪れた本当の目的は、この海上貿易を阻止することであったともいわれています。列王記上10:13によれば、「ソロモン王はシバの女王の望みをすべて叶えた」とあり、王との合意のもとに訪問は終了したと考えられています。

エチオピアの国民的叙事詩「ケブラ・ナガスト（王たちの栄光）」では、ソロモン王とシバの女王の物語が詳しく語られています。それによると、王は女王の帰途への出発前日に、女王を食事に招待し、喉が渇くほど濃い味付けの料理を用意しました。喉の渇きで夜中に目が覚めた女王が水を飲んでいる時に、物陰に隠れていた王は女王の前に飛び出して、「水は王国で最も高価な商品だから、その代価を支払わなければなりません。」と女王に言いました。女王はそれを承諾し、結果、女王は身ごもることとなりました。女王は自分の国に戻る途中で「賢者の子」と呼ばれる息子を出産し、その子をメニレクと名付けました。

コイン詳細

表面: イスラエル国章、額面金額、英語・ヘブライ語・アラビア語で「イスラエル」、鋳造年とミントマーク、3カ国語での縁取り銘「ソロモン王とシバの女王」、中央には金の獅子の1つを表す装飾が施されています。
裏面: 王宮の玉座に続く階段を飾る12頭の金の獅子の傍に佇むソロモン王とシバの女王。

デザイン： アハロン・シェボ (Aharon Shevo)